盗み出された機密情報
警察庁のサーバールームで、謎の女が機密情報を盗み出していました。
その情報とは黒の組織に入り込んでいる世界中のスパイ工作員がリスト化されている通称“ノックリスト”と呼ばれているものです。
その女は、リストの名前を調べていきます。
そして、そのリストの調査対象のコードネームを調べ終わった後、5色のカラー版を見て直接自分の頭の中記憶していきました。
そこへ、その女を独自で調査していた公安の刑事・風見が部下数名と現れ、彼女を包囲して銃を向けます。
しかし、鍛え上げられた彼女の動きは凄まじく、部下の警官は一瞬でやられ包囲を突破し、その場から逃亡を図るのでした。
その女が逃げた通路先には、公安の捜査官・安室が立ちふさがりタイマンの格闘をすることになります。
格闘の際に、安室の放ったパンチが彼女の顔に命中し、その女のコンタクトレンズが外れました。
その彼女の眼を見た安室捜査官は何やら驚いた様子です。
追い詰められたはずのその女でしたが、恐るべき身体能力でそのビルから飛び降り、道路に出て、そのまま車を強奪して逃走していきました。
カーチェイス
謎の女を安室捜査官も同じく車に乗り込み追いかけます。
そこへ、FBI捜査官・赤井も現れ、彼も独自で彼女を追跡していきます。
逃亡中の車中で、女はスマホを片手に記憶したリストのコードネームを打ち込んで、どこかへ送信しました。
女の運転技術も凄まじく、彼女は首都高を逆走して追っ手の安室を振り切ろうとしますが、赤井捜査官が狙撃態勢で待ち受けていました。
そのまま赤井を跳ね飛ばす勢いで、突っ込もうとする女の車でしたが、赤井の放った銃弾は女の車のタイヤを撃ち抜き、バランスを失ったその車はレインボーブリッジから海へと落下して、他の車と共に大爆発を起こし大破します。
しかし、死んだかのように思われた女は生きていました。
彼女は満身創痍で、持っていたスマホも壊れていましたが無事でした。
そしてそのまま、ある観覧車の見えるアミューズメント施設の前にきたとき、その闇夜に輝くイルミネーションを目にした途端、彼女は頭を抱えて苦しみだし叫び出したのです。
出会い
次の日、コナンや灰原、少年探偵団、阿笠博士の一行はリニューアルオープンした「東都水族館」を訪れていました。
その水族館へ向かう途中の施設内のベンチで、左右の目の色が違う、不思議な様子の女性と出会います。
彼女はケガをしていて、名前も思い出せず、記憶を失っていました。
そして、スマホも壊れていて身元も不明な状況の中、ガラスの破片やガソリンの匂いから彼女が車の事故にあったのではないかと推理します。
他に彼女が持っていた物は、5色の半透明な単語帳のようなカードのみです。
そこへ、博士や子どもたちも合流し、彼女が記憶を失っていることから保護するために警察に届けるべきという話になります。
しかし、彼女は「警察」というワードにひどく怯えている様子で、拒みます。
そして、彼女の身元を調べるために写真を撮影すると、それにも拒否反応を示しました。
こうして、謎の女性の記憶を取り戻すために、彼女と行動を共にすることになります。
コナンは彼女にばれないように、蘭へ連絡を入れました。
蘭はその情報を、彼の頼み通り高木刑事に伝えて、毛利小五郎にも手伝ってあげてほしいと言いながら教えます。
警察内部の混乱
蘭から連絡をうけた高木刑事は、目暮警部に報告しました。
昨夜の安室や赤井が追跡した大規模なカーチェイスで、あれほど大きな事故が起きたのにも関わらず、運転手が行方不明で、自分たちにも情報が一切降りてこないことに疑問を感じた警部は、何か大きな力が働いているのかもしれないと考えます。
昨夜、警察庁に何者かが侵入した情報も合わせて目暮警部たちも、その女が何かに関与していないか独自で捜査していくことになりました。
組織の暗躍
東都水族館に、謎の女を捜索する黒の組織のベルモットが姿を現しました。
謎の女は、ダーツゲームで3連続ダブルブルを獲得し、お揃いの色違いのイルカの景品を獲得して大喜びする少年探偵団と共に観覧車に向かいます。
係員が渡しそびれた、謎の女性用にまだ着色が施されていないイルカも受け取ります。
女の居場所をつきとめたベルモットは、彼女に接触を試みるも、女が自分に気づかない様子なので、ジンに何かトラブルがあったみたいと報告します。
観覧車へ向かう道中、元太がエスカレーターから身を乗り出したことで、落下しそうになるトラブルが発生します。
そこから落下した元太を救うために、謎の女は驚異的な身体能力で建物を急降下して、大事故になる直前に元太の身体をキャッチすることに成功するのです。
ダーツゲームの様子や、女の一般人ではない動きを見て、灰原は何か浮かない表情をしていました。
灰原は、オッドアイや、元太を救出した際の身のこなし、ダーツの命中率などの女の特徴が黒の組織のナンバ-2「ラム」の特徴と似ていることから、記憶喪失のふりをして接触してきたのであれば皆が危険に晒されると恐れていたのです。
謎のベールに包まれているラムは何かの事故で片目を失っており、片目が義眼という情報だけがありました。
もし謎の女のオッドアイの片目が義眼だったとすれば、ラムの可能性も出てくると灰原は考えていたのです。
コナンは彼女が本当に組織のメンバーで記憶喪失ならば、何か情報が掴めるのでは?と考えていましたが、元組織のメンバーだった灰原はみんなが巻き込まれでもしたら大変なことになるし、記憶を戻すのはやめるべきだと口論になります。
そんな二人が言い争っている間に、少年探偵団と謎の女はその場からいなくなってしまいました。
子どもたちは先ほど乗り損ねた観覧者へ再び来ていました。
観覧車から見える景色にはしゃぐ子供達でしたが、一緒にその景色を眺める謎の女は突然眩暈を起こし苦しみだします。
そして、東都水族館のスポットライトの光の重なりを浴びた彼女は、その場で頭を抱えて苦しみだし、謎の単語を口に出していきます。
記憶の手がかりになると踏んで光彦はその言葉をメモし、救急車を呼ぶことになりました。
謎の女の正体
医務室には警察の高木刑事たちも到着して、記憶喪失の女の症状など医者から詳しく聞くことになります。
CTスキャン画像で、事故で頭部を強く打ったことが記憶喪失の原因であることや、生まれつき脳の中に損傷があることが判明します。
そして、彼女の眼は義眼ではなく、右目が透明のように見える珍しいオッドアイであることもわかり、ラムでないことがここで明らかとなりました。
彼女の身柄は警察病院に移され、そこで保護されることになります。
女が送信したメールに記されているコードネームで黒の組織に潜入していたスパイ工作員が、世界中で殺されていく事件が発生します。
そして、次に狙われたスパイ工作員がいる日本へ、組織の手が伸びていました。
このままいくと、世界中のスパイ工作員が標的となってしまい、全世界で大混乱を招くことになってしまいます。
そのため、コナンは、彼女のスマホのデータを修復して手掛かりを掴もうと、阿笠博士に頼みます。
警察病院で保護されていた彼女でしたが、公安の風見たちがやってきて身柄受け渡しを要求してきたため、目暮警部たちはそれに応じることになります。
そのとき、水族館のダーツで手に入れた白いイルカを子どもたちから受け取った女は、笑顔になりました。
一方、ある倉庫では、ノックリストとして名前が挙がっていたキールとバーボンが組織に裏切り者として捕らわれていました。
ジンは二人をその場で殺そうとしますが、スマホのデータ復元が終わった阿笠博士の情報をもとに、コナンが謎の女を装って偽の情報メールを送信します。
そのメールをベルモットが受信したことで、キールとバーボンは命をつなぎますが、拘束は解けません。
ここで、謎の女のコードネームがキュラソーであることが明らかとなります。
水族館で彼女の様子がおかしかったため、このメールの真偽を確かめるまで拘束は解除されないこととなります。
しかし、何者かが倉庫の照明を落としたことで、その隙にバーボンは脱出に成功するのです。
再び水族館へ
公安は、安室の指示で観覧車へキュラソーを連れていくことにします。
黒の組織は、その動きを仲間に探らせていたため察知して彼女の奪還をしに同じく観覧車がある水族館へ向かいます。
蘭や毛利、少年探偵団の子どもたちも、子どもたちのキュラソーに観覧車からの景色を撮影して見せてやろうという願いを汲んで、観覧車へ到着。
公安の様子を探っていた目暮警部たちも水族館へ到着し、全てが再び東都水族館へと集結していきます。
観覧車
それぞれ別々に観覧車に乗り込んだキュラソーと子ども達
観覧車の施設では、独自に捜査をして対立状態にある安室と赤井が対峙していました。
二人が格闘の末、施設内部に落下し、コナンとそこで落ち合う事になります。
コナンが発見した起爆装置を知り、事の重大さに気づいて、対立していた二人は一時休戦し、協力し合うことになりました。
黒の組織の襲撃を察知した三人はそれぞれ、事態の収束のために動くことになります。
赤井は組織が観覧車上空から出現すると予想し、狙撃位置につきました。
安室は、コナンが発見した起爆装置の解除に奮闘します。
コナンは、5色のスポットライトがキュラソーの記憶を取り戻す鍵となると考え、彼女の元へと向かいました。
風見捜査官と共に観覧車に乗っているキュラソーは頂上に到達したあたりで、5色のライトを浴びて、再び苦しみだします。
そして遂に、記憶を全て取り戻しました。
黒の組織は、上空から戦闘ヘリで彼女が乗るゴンドラごと奪還する計画です。
その後、すぐに風見を倒し、その一部始終を監視していたベルモットが、送信したメールが真偽を確認すると、キュラソーは、それは自分が送信したものだと嘘をつきます。
記憶を取り戻した彼女でしたが、純粋な子ども達との交流で、闇に染まっていた心の色に変化が出ていたのです。
ベルモットの工作により、水族館以外の施設全てが停電となりました。
子どもたちからもらった白いイルカを見つめ、キュラソーは動き出します。
コナンは倒れている風見を見つけるも、一緒にいたはずの彼女がいないことで困惑しました。
時同じくして、上空から彼女を奪還しにきたジンたちも記憶を取り戻したはずの彼女がいないことで、異変を感じて彼女もろとも水族館を破壊することにしました。
観覧車の起爆装置を作動させるスイッチを押すジンでしたが、間一髪のところで安室が起爆装置を解除していました。
爆破が失敗に終わったことで、今度は爆薬めがけてヘリから銃撃をすることにするジン
一方観覧車施設内では、灰原とキュラソーが遭遇します。
そこで灰原の正体が組織を裏切ったシェリーであると見抜いたキュラソーでしたが、落下しそうになる灰原を助け、「どんな色にも染まれる私は前の自分より、今の自分の方が気分がいい」と彼女は言い、共に組織から逃げる決断をしました。
そんな時に、少年探偵団の子どもたちがまだ観覧車に乗っている事実を知ることになります。
激しい銃撃に晒され、子どもたちが危険だと察した彼女は、自ら囮になって銃撃の気を引くことで、その間に子どもたちを救出する時間を稼ごうとしました。
作戦通り、ヘリの銃撃は彼女へ集中して激しさを増していくことになりますが、彼女は負傷し、爆薬にも引火したことで大爆発が起き巻き込まれてしまいます。
撃退
観覧車の上では、赤井が狙撃しようとしていましたが、停電のせいで視界がとれず狙いが定まりません。
しかし、コナンと安室の協力で、視界を得て狙撃可能な状況になります。
その一瞬のチャンスを活かし、ヘリのローターの結合部の狙撃に成功し、撃退に成功しました。
ダメージを受けバランスを大きく崩した戦闘ヘリでしたが、ジンはそのまま観覧車の車軸を撃ち続け、滑落させてしまいます。
このままでは、蘭たちや大勢の観客がいる水族館に甚大な被害が出てしまう事に。
コナン、安室、赤井の三名は協力して、滑落した観覧車を止めるべく奮闘するもあと一歩動きをとめるまでには至らず、万事休すとなります。
しかしそのとき、瀕死の重傷を負ったキュラソーが操縦するクレーン車が、暴走する観覧車を目がけてつっこんでいきます。
彼女が乗ったクレーンは下敷きとなってしまいましたが、その衝撃のおかげで、観覧車はギリギリ動きをとめることが出来て、最悪の事態は免れることとなります。
記憶より思い出
その優秀な記憶力と、ずば抜けた身体能力で、黒の組織のナンバー2「ラム」の片腕の諜報員として生きてきたキュラソーでしたが、死ぬ間際に選んだ彼女の選択は子ども達との大事な思い出でした。
彼女の遺体は身元を判別できる状態ではなく、それを暗示するかのように、彼女が持っていた白いイルカは黒こげの状態となっていたのです。
風見はこのイルカをみて記憶媒体か問いますが、コナンは「記憶じゃなくて思い出だよ」と淋しそうな表情で答えます。