突然現れた謎の美女。ドタイプなのに、なんと弟の妻だと言う…!?
しかし弟は行方不明で、一緒に行動するうちに、天真爛漫で危なっかしい彼女にドキドキしてしまう…と言うラブサスペンス!
いったい彼女の目的は!?東野圭吾さんの原作「危険なビーナス」の実写化です。
謎の美女は弟の妻!?
手嶋伯朗(妻夫木聡)は、動物病院で働く院長代理。ある日、矢神楓(吉高由里子)と言う美女が訪ねてきます。
楓は伯朗の弟の明人(染谷翔太)の妻だと名乗ります。
矢神家の当主である康治(栗原英雄)が危篤状態にあり遺産相続の話も浮上しているため、シアトルから戻ってきたのだと言います。
しかし伯朗はずいぶん前から矢神家とは疎遠になっていたため、明人が結婚していたことも、康治が危篤状態にあることも知りませんでした。
というのも、伯朗は康治とは血のつながりがありません。伯朗の本当の父親が亡くなった後に、母親の禎子(斉藤由貴)が再婚して嫁いだのが矢神家。伯朗は“連れ子“と言うことで、かなり肩身の狭い思いをして育ってきました。
20歳になって、本当の父親である「手嶋」の性を名乗り、矢神家とは縁を切ったのです。
楓は、明人が行方不明になっていて何日か前から連絡が取れないと言います。遺産相続の話が出ているこのタイミングでいなくなるなんて、矢神家のだれかにさらわれたのではないか?と疑っています。
矢神家と関わりたくない伯朗ですが、「お兄様しか頼れる人がいないんです…」と楓に見つめられ、どうしても断れません。伯朗はとても女好きで、特に美人には弱いのです。
楓は本当に明人の妻?
伯朗は、病院の看護師で助手の蔭山(中村アン)に、「彼女が弟さんと一緒にいるところを見たわけではないんですよね?本当に彼女は弟さんの奥さんなんですか?」と言われ、確かに楓が嘘をついている可能性もあると疑います。
いろいろ質問してみると、結婚式は2人だけでアメリカで挙げたと言います。ますます怪しい。「写真はある?」と聞いてみると、すぐにスマホの写真を見せてくれました。確かに明人とのツーショット写真がありましたが、結婚式の写真がたったこれ1枚だけ。他の写真はパソコンに移してしまっているため、今手元にはないと言います。
矢神家の人々
伯朗は楓に頼み込まれ、嫌々矢神家にやってきました。
現在この家に住んでいるのは、康治と康治の実妹である波恵(戸田恵子)と先代・康之助(栗田芳宏)の後妻の子・牧雄(池内万作)。康治の看病は波恵がしています。
康治は積極的な治療は行っておらず、静かに最後の時を待っているような状態です。すると突然、康治が目を覚ましました。楓が康治の手を取って「明人くんのお父様に会えるなんて感激です!」と言うと、康治が何かを言おうとします。楓と波恵が視線だけで文字入力ができる機械を持ってこようとしている間に、康治は伯朗の耳元で何かを言いました。
「明人に、背負わなくていいと(伝えてくれ)」
その後、康治の養女である佐代(麻生祐未)と養子である勇磨(ディーン・フジオカ)が伯朗の前に現れます。
伯朗は佐代の事は覚えていませんでしたが、勇磨の事はよく覚えています。勇磨は昔から伯朗のことを見下していて、禎子の事さえも「お金目当てでこの家に入り込んできた卑しい貧乏人」扱いをするのです。小さい頃からずっとそんな扱いを受けてきたため、矢神家とは縁を切りたかったのです。
そのことを知り、楓は「私のせいで嫌な思いをさせてしまったんですね」と、お詫びのしるしに、「昨日焼いたシフォンケーキを一緒に食べませんか?」と言って、自宅に招待します。自宅には明人と楓のツーショット写真がたくさん飾られており、明人のものと思われるものもたくさんあったため、やはり明人と楓はここに一緒に住んでいたのだろうと伯朗は信じました。
禎子の死
伯朗の母親である禎子は、不審死をしていました。実家の浴槽でお湯につかったまま、倒れているのを禎子の妹の順子(坂井真紀)が見つけたのです。
その頃伯朗は大学生で一人暮らしをしていたため、康治から連絡を受け駆けつけました。解剖をした結果、頭を打った痕跡が見つかったため、足を滑らして頭を打ち浴槽で溺死した不運な事故だったと言う結果になりました。
実家は禎子が亡くなった場所として、明人にとってもあまり良い思い出のある場所では無いはずなのに、明人は家の写真を写真立てに入れて部屋に飾っていました。不審に思い手に取ってみると、写真立ての中に鍵が隠されていました。
禎子の妹夫婦
楓が「おばさんを紹介してほしい」と言い出し、禎子側の親戚・兼岩家に楓を連れて行きます。叔父の憲三(小日向文雄)と叔母の順子はとても快く楓を受け入れてくれました。
明人は数学的な才能があり、今も高度な技術の仕事に携わっています。「明人の父親は医者で、俺の父親は売れない画家だからベースが違う」と伯朗が言い、伯朗の父親の一清が描いていた絵を見せてもらいます。再婚する際に、前の夫の遺品を持っていくことを気遣って、妹の家に置いていたのです。
しかし一清が死ぬ間際に描いていた絵が見当たりません。
その後も楽しくお酒を飲みながら食事をしていましたが、楓は「そういえば明人くんが3日の午後にこちらに電話をしたそうなんですが?」と言って、それとなく憲三と順子のアリバイを探りました。
そのことで帰り道、伯朗と順子は喧嘩になってしまいます。伯朗が、憲三と順子を疑ったことで「君の方がよっぽど怪しい。君がどこかに明人を監禁していて、妻だと偽って矢神家に乗り込んで遺産を奪おうとしているんじゃないのか?」と言ってしまったからです。
遺言書
楓は矢神家の遺産相続会に出席することになりました。明人が行方不明になっていることは内緒にし、明人はまだアメリカにいることになっています。そうすれば、犯人は楓が嘘をついていることに気づくため、何かアクションを起こすかもしれないからです。
16年前に亡くなった先代の康之介の遺言書を見せてもらいます。そこには「遺産のすべてを明人に相続させる」と記されていました。
しかし当時明人はまだ子供。あまりにもそれは非常識だと言うことで、分配しやすい現金等の遺産については、ここにいる子供たちで分配し、残りの遺産については、「明人が大人になってから、遺産を相続するかどうかを明人の意思によって決めさせる」と言う取り決めが親族の間でなされました。
楓は明人の意思は全て把握しているとして、「すべての遺産を相続する。また、16年前に子供たちが受け取った遺産について精査し、不正があった場合は直ちに返還を求める」と言い渡します。
しかし、これは嘘!遺産についての明人の意向は、楓は聞いていません。しかし、こう言えば、明人をさらった人間が何か仕掛けてくると思い、自分をおとりにつかって犯人をあぶりだそうとしているのです。
その頃、伯朗の動物病院に順子が訪ねてきました。実は伯朗と楓が喧嘩別れしたその直後、楓は憲三と順子のところに戻り、全てを話して謝罪しました。明人が本当は今行方不明になっていること、誰かが明人をさらったのではないかと疑っていて、2人にもアリバイを確認してしまったこと。
順子は、「大切な旦那さんが消えてしまったら、必死になるのは当たり前」と楓を許し、伯朗にも楓の力になってあげなさいといいます。
そこに、楓から伯朗に電話がかかってきます。楓が「すべての遺産を相続する」と言い放ったてから、1人客間で待たされていましたが、犯人らしき人物から、呼び出しの手紙がドアの隙間から差し込まれたのです。
「もうお兄様には頼らないと決めていましたが、もし私に何かがあったら、お兄様が代わりに明人くんを助けてください」と、また断りにくい頼み方をしてきます。そして、伯朗が「どうして俺なんかに頼るんだよ?俺は矢神家を逃げ出した人間だぞ?」と言うと、「明人くんが言っていたんです。お兄様だけは信頼できるって。会ってから短いですが、私もそう思います」と言います。
その言葉に心打たれ、伯朗は病院を飛び出すのでした。
弟の嫁を守る!
禎子が康治との結婚が決まった時、「矢神家の当主の妻が、まさかこぶ付きなんて」と散々言われました。お金持ちの家でのマナーなど何も知らない子供だった伯朗は、そのことでみんなに見下され、それを禎子がいつも「大丈夫よ」と言ってフォローしてくれました。禎子も矢神家でいじめにあいながらも、伯朗を必死で守ってくれました。だけど子供だった伯朗は守られるばかりで、禎子に何もしてあげられませんでした。
そして明人が生まれた時、初めて「これでやっと認めてもらえる…!」と禎子は喜んでいました。
そのことで余計に勇磨からは「お前はもう用済みだな!」と伯朗は突き飛ばされたり嫌がらせを受けましたが、「これで母さんはもう大丈夫。これからは明人が母さんを守ってくれる存在になる」と心強く思ったのでした。
だから今度は自分が守る!明人の嫁を!
矢神家に乗り込んだ伯朗は、地下室に閉じ込められていた楓を発見。楓は怪我もしていたため、完全に伯朗は楓のことを信じます。
その頃矢神家の一族は、遺品が保管されている“開かずの間“の前に集まっていました。楓がこの場に来なければ、「遺言書は無効で、ここにいる者達だけで分配するということになるんでしょうかね?」と言う話が進みそうになっているところに、伯朗が楓を連れて現れます。
ここにいる誰かが、明人と楓にお金を渡さないために、楓を地下室に閉じ込めたのでしょうか!?
伯朗は「あなたたちがなんと言おうと、彼女は僕の妹です。彼女を傷つける事は絶対に許さない!」と宣言します。
波恵が「遺品の確認はまた日を改めます。今日はその日にふさわしくないので」と言うと、牧雄が「早く中を見せろ!兄貴はもっと価値のあるものを持っていたはずだ!」と騒ぎます。
牧雄は脳の研究をしています。牧雄が期待しているものは一体何なのでしょうか!?
牧雄が襲われる
楓は使用人から、楓が地下室に閉じ込められた時間帯に牧雄がリビングにいなかったと言う情報を得ます。牧雄は「もっと価値のあるもの」を手に入れたくて、一時的に楓を監禁したのでしょうか?
それを本人に確かめるため、楓は牧雄を呼び出しました。しかし待ち合わせ場所に来る途中、牧雄は何者かに階段から突き落とされ救急車で運ばれてしまうのでした。